医療データ奮闘記

公衆衛生大学院に入った内科系専門医が医師として培った現場感と大学院で培った統計の知識を交えながら、医療や疫学や統計に関する素朴な疑問や本音をつらつら書いています。

問診をする時何か忘れる、というのは普通の事らしい。

患者に問診に行く時、「あー、喫煙聞くの忘れてたー」とか、「そういや子供いるんやっけ」などとなる事が多い。

専門領域に関しては特に「そういえばアミロイドーシスの可能性ってないの?」とか指摘されて何も答えられないとなると自分の信頼に関わる問題になるので、最終的にはスマートな医師ほど「毎回同じように聞く自分問診リスト」のようなものができてくる。(専門修練医の指導をする際には必ず最初に作らせる)

しかし研修医の段階では、どのような事を聞かねばならないのかさえわからないので、様々な先人の知恵がある。

主訴に関しては「OPQRST」

  • Onset:「いつから?」
  • Pallative, Provoke:「どんな時に改善/悪化する?」
  • Quality, Quantity:「どんな表現ができる?」
  • Region:「どこに症状が?」
  • aSsociated symptom:「他にどんな症状を伴う?」
  • Time course:「発症してから今までの経時変化は?」

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主訴問診

とそれ以外に忘れそうな事を連ねた「ABCDEFG」

  • Anamne&Allergy:既往歴・アレルギー
  • Back Ground:職業・住居・家族構成
  • Cook:食事・飲酒・喫煙歴 
  • Drug:服薬歴
  • Exposure:曝露歴(ペット・旅行・クーラーとか)
  • Family:家族歴(主に父母兄弟)
  • Gynecology:婦人科的事項(妊娠、月経など)

などがある。

ちなみに漢方でも張景岳の問診十問歌という有名な問診リストがある。

張景岳の問診十問歌

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問診中問歌

こういうのを各学会で雛形作れば1、それを電子カルテに乗せてクローズドクエスチョンとして(テキストマイニングなんてしなくても)きれいにデータがとれるのにといつも思う。


  1. 学会の一つの使命に「医療の標準化」というものがある。ガイドラインもその流れと思う。