医療データ奮闘記

公衆衛生大学院に入った内科系専門医が医師として培った現場感と大学院で培った統計の知識を交えながら、医療や疫学や統計に関する素朴な疑問や本音をつらつら書いています。

医療統計と疫学の雰囲気の違い

今回はいつも以上に独りよがりな意見ですが。。

公衆衛生大学院に入ると、疫学の教室と医療統計の教室で全く考え方が違う印象を受けた。

違い
医療統計 統計学的な正しさ」にかなり価値がある(主眼を置く)イメージ。「誰にも文句を言われないデザイン」(RCTなど)と数理モデルを目指すイメージ
疫学 まずそのデータを集めた事に価値があるが、数理モデルはロジスティック回帰や傾向スコアなどで十分「こんなデータ使ってみました、もしかしたらこうかもしれません」という方法を多数扱う。

一般に、医療統計の教室は製薬会社の治験などにも関わっている事が多い印象。新薬の開発などはベースとなる統計学的な正しさにスキがあってはいけない、という気迫が伝わってくる。

一方で、疫学はエビデンスレベルが高いような研究がそもそも難しいというのもあるが、モデルの仮定にも結構ルーズで、「こうやったらこうなったよー、前からこう言われているから1まあいいんじゃない?」という人が多い気がする。それよりもそのデータを扱える事や料理の仕方の方に価値が置かれている印象がある。


  1. 医学系の論文って、introductionやdiscussionなどでは、一つでも論文を引用していればOKみたいな所がある気がします。